自律神経とは、我々の意志に関係無くホルモン調節と連携をとり全身をコントロールしている神経です。ホルモンはどちらかと言えば、成長ホルモンが身長を伸ばすごとく、ゆっくり長期的に働くのに対して、自律神経は早く短期的に働き、体を調節しているのです。例えば激しい運動をすると、呼吸が早くなり、心臓がドキドキと強く打ち、全身が熱くなり、汗をびっしょりかきます。また、急に寒い所に出ると、鳥肌が立ち、ブルブル震えてきます。この様な反応は全て自律神経が行なっているのです。
自律神経には、交感神経と副交感神経があり、この2つの神経が各々の臓器で互いに協調しあいながら調節していますが、調節の仕方はそれぞれの臓器で独立して行なっています。呼吸器、循環器で考えると、活動的な生活をしている時は交感神経が優位に働き、安静にしている時は副交感神経が優位に働いています。活動時に働く交感神経は、気管支を広げ呼吸を大きく強くし多量の空気を吸い込み酸素を取り込みやすくします。同時に心臓を強く動かし、血管を細くし血圧を上げ血液の中に取り込んだ酸素を早く全身に送ろうと働くのです。逆に安静時に働く副交感神経は気管支を細くし、心臓の動きをゆっくりにし血圧を下げ体を休める働きをするのです。しかし、不規則な生活をし過ぎたり、睡眠不足が続いたり、極端に疲れ過ぎたりすると、この自律神経の調帝がうまくいかなくなります。例えば、睡眠不足が続いたりすると朝が起きずらいと思います。なかなか体にエンジンがかかりません。これは、体を活動的にさせる交感神経が働かない為です。また、睡眠不足や疲れがたまっていると布団に入ると急に深い睡眠に陥ります。すると交感神経が急激に働かなくなります(緊張が緩む)。このように極端に交感神経の緊張状態が低下すると気道が狭くなり刺激を受けやすくなります。その結果、その刺激を避けるため、鼻水やタン(疾)を出すのです。この反応が過剰すぎるとクシャミや咳をして分泌物を出そうとするのです。
最近の子供たちは、寝ると激しい咳をする、起きたときに咳をするといった反応をよく起こします。これは、一般的な風邪(ウイルスや細菌による感染で起こる病気)ではなく、体調の乱れによるものです。難しく言えば自律神経失調症の1つの症状と考えていいのです。この反応は気道粘膜が過敏になった状態ですので、朝夕の咳だけではなく、急激な気温の変化、急に冷たい空気を吸い込んだ様な時、暴れたり、運動して呼吸が早くなった時、刺激的な匂い・煙を吸った時などにも反応して咳がでるのです。また体調の変化は気候にも影響を受けます。そのため季節の変わり目や急に天気が崩れると症状が強く起こってしまうのです。
現代は、とても楽に生活が出来ます。夏は冷房で涼しく、冬は暖房で暖かく過ごせるようになりました。その結果ちょっとした環境の変化に体がうがまくついていけなくなっているようです。適応能力が低下しているのです。特に低年齢の子供達は体の調節機構が未熟な為、一層調節障害の症状が出やすいのです。
自律神経調節を安定させるには規則正しい生活、活動的な生活、適度に刺激ある生活をする事が大切なのです。
カマラは、生後6カ月から8才まで狼に育てられた少女です。1920年ごろインドで生まれ、生後6カ月の時に四匹の仔をもった母狼につれ去られ、四匹の仔狼と一緒に育てられました。そのためか発見されたときには、夜目が見え、その代わりに日中の光が怖く明るい時には部屋の隅にうずくまってしまう。悲しくても涙もでない。物を探す時も、食べる時も手を使わず頭を直接近ずけて探し、食べる。二本脚で歩かず、四つ足で歩く。といった具合に人間とはかけ離れた行動をしていたのです。その後人がいくら世話をし、教え込もうとしても人になれず、人間の習慣は身につかなかったとのことです。
この事実は、人間の精神発達を考える上で大変重要な出来事です。偶然行なわれた人体実験のようなものです。イヌやネコの仔をいくら人間が育ててもあまり人間と同様の行動をする事はありません。しかし人間の子供はその育った環境に影響を受けて色々な事を学習し身につけ人間としての基健を築き上げていくのです。また一旦身についた性格は仲々変える事は出来ないのです。三つ子の魂百までという諺があります。三歳までの育てられ方、育った環境がその子の一生を支配する、性格形成上大きく影響を与えるという事です。過保護に育てられれば我儀な子になったり、放りばなしで育てられれば無気力な子、愛情を感じない子になったり、神経質に育てられれば繊細な子になったり、厳しくしつけをされすぎるとおどおどした子になってしまったりしてしまうのです。1才までに極端に放りっぱなしで育てられると自閉傾向になってしまうようです。
人間の性格の多くの部分は後天的な物です。親がどのような接し方をするかで決まるのです。親子の絆を強くしてください。親子が信頼しあい、より良い人間形成をさせたいと思います。
追)アベエロンの野生児
カマラと同じ様な話で、1799年7月に南フランスのアベエロンで言葉の話せない11〜12才の少年が発見されました。ウィクトールと名づけられ、その後6年間にわたり実験的教育を受けましたが普通児にすることは出来なかったとのことです。言語を習得出来ず一言も話せなかったようです。また白痴的な行動をし自分が男か女かも認識出来なかったとのことです。
今日、家庭や職場あるいは通勤等によって消貴されるエネルギー量は著しく低下しています。
意識的に身体活動を日常生活に取り入れなければ、体力の低下を免れる事はできません。また長期間にわたる運動不足は中高年における各種成人病の発症要因となっているのです。
従来の体力づくりは主として若年者を対象として、各種スポーツの競技力を向上させることを目的として行なわれてきました。しかし、今日では中高年を対象とし、肥満、冠動脈疾患、高脂血症、糖尿病、高血圧症、骨粗しょう症などの予防や健康の保持・増進が体力づくりの主たる目的になっています。
中年期までに適切な食生活と運動習慣を身につけていれば、それが老化の進行を抑制し、各種成人病を予防し、その発症を遅らせる方向に働き、より高い生理機能を維持しながら年齢を重ねていく事ができるのです。
厚生省では、「健康づくりのため運動指針」として“歩くことからはじめよう 一日30分を目標に、息がはずむ程度のスピードで体調に合わせてマイペース、工夫して楽しく運動長続き、ときには楽しいスポーツも”と勧めています。ウォーキング、ジョギング、スイミングなど最低30分以上続けていただきたいですね。
高齢者世帯や独居老人の増加、女性の戦場進出などで家族介護が低下しています。21世紀の高齢社会を目の前にして介護看護は在宅ケアーの国民の期待と社会ニーズを受けながら病院から地域へと転換を余儀なくされ、1992年4月より老人訪問看護事業が開始されました。
在宅で療養する高齢者には、寝たきりの予防や療養の世話が必要ですが、在宅介蔑においては想像以上に介凄者の負担が大きく、如何に家族の介護負担を軽減するかが課題となります。ヘルパーや他のケースワーカーや各種の援助者のサービスを出来るだけ利用して長続きできる在宅ケアーを続けていく事が理想だと考えています。
当院も地域社会に密着し、より充実したハートのある介護サービスを目指して試行錯誤しながらすすめています。まだ歩みだしたばかりで課題も沢山抱えておりますが少しでもより良い在宅医療を受けて頂けるよう頑張って行きたいと思って居ります。訪問医療が必要とされるこの時代最大限努力したい。私たちに介護のお手伝いをさせて下さい。 (松川クリニック・看護スタッフ)
命ある限り必ず何時かは死ぬのです。哲学的ですが、いかに生きるかが大切と同じように、どの様な死に方をするかが問題なのです。今までの病院治療の多くが行なわれていた高度の医療を駆使し延命させる治療、その反面患者自身の意志は無視され、不自由な思いをし又痛い辛い思いをし、挙げ句に冷たいベッドの上で天命を全うする。これではいくら長生きしても幸せな死に方とは思えません。患者さんの気持ちを大切にし在宅ケアーが出来る様お手伝いをさせて頂きたく考えて居ります。