クリニック ページ     VOL.5 


病児一時預かりを考えて
        
 少子化、核家族化にともない少人数の家族世帯が増えている。また「隣の人は何する人ぞ」と言われるごとく孤立した世帯間の為、育児を助け合うと言った一昔のムラ組織(集団)はなくなっている。その反男女平等、男女雇用均等法で表されるように、母親の社会進出はどんどん増加している。当然共働き家庭が増えている。それゆえ子供が病気をした時はそれなりの犠牲をこうむってしまうのは現実です。 子供が病気をした時に親が介護をすべきなのは当たり前の事です。病気が重くぐったりしている時は、親が傍に居てあげる事は大切な事です。子供の不安を和らげ、親子の信頼関係を構築するのに当然事と考えます。
 しかし、子供は元気になったが、まだしばらくは安静が必要だとか、感染の恐れがあり登園・登校出来ないと言った状況はままある事です。こんな時にも母親もしくは父親が仕事を休み、介護しなくてはならないのです。ところが今不景気の真っ只中で、おいそれと仕事を休む訳にはいきません。我がクリニックでも上の姉が学校を休んで面倒をみていたと言うケースも有りましたし、ベビーシツターを頼んでいると言うケースも有ります。そんな事からほんの一時の手助けが我がクリニックで出来ればと、病児一時預かり(病児保育)を考えてみました。これ育児支援の一つになれば意義のある事と思います。
 病児保育は数年前より小児科医が自宅を開放してほそぼそと始められた事から始まりました。現在は全国で70箇所で行われており、日本外来小児科学研究会で毎年ワークショップで取り上げ問題提起しております。厚生省もこの制度を推し進め、医療法人への委託業務として全国で500箇所までに増やす方針との事です。すでに行政支援の元に行われている県もあるのですが(福岡県、三重県など)、愛知県や名古屋市に於いては一カ所もなく行政も全く取り組んでいないのが現状です。かし我が天白区は新しい地域であり若い世帯の多い所で、どうてもこの制度が必要となる所と思います。
 我がクリニックは病床14沫を持って居りますが全病室が満杯になる事なくあまった病室を一時預かりとして使った方が有意義ではないかと考え、昨年当クリニックの患者さんにアンケート調査を行った所、評価をした患者さんは94%また当クリニック病児保育施設があった場合の利用を希望された方は59%で、行う意味は大きいと考えました。
 当面は下記対象者に限って開始しようと考えて居ります。始めての事で手探りの状態ですが、ぜひ皆さんに支持される事業となるよう努力しています。ぜひ皆さんからご助言いただき、みんなで造りあげて行きたいと思って居ります。
(対象者)
1.当院で病状が把握できている病児
2.特別な医療行為の必要のない症状の軽い病児(症状は軽いが自宅
  安静が必要で登校、登園ができない病児) 
3.幼稚園通園者(3才以上)、小学校通学者
4.会員制として扱い事前に手続きをしている者(入会金不要)

 《育児講座4 》生き生きした赤ちゃんにする為に
       

 いっまでたっても動こうとしない赤ちゃん、ハイハイせずにつかまり立ちをしてしまう赤ちゃん、遊ぼうとしない赤ちゃん、なかなか食べようとしない赤ちゃん、その反面早い時期から動きまわりお兄ちゃんやお姉ちゃんと一緒になって遊べたり、大人と変わらないほどの食欲をしめす赤ちゃんもいるのです。
 当然赤ちゃんはまわりの人達の扱い方でいろいろ変わるものです。抱てばかりしていると抱き癖がっきます。人見知り、夜泣き、かんのむしだって扱われしだいです。赤ちゃんを意欲的にさせるのも扱われ方次第だと思います。出来得るなら我が子を生き生き意欲的で元気な赤ちゃんに育てたいものです。ではどうしたら赤ちゃんに意欲をださせる事が出来るのでしょう。初めての赤ちゃんはお母さんもお父さんもどう扱ったらいい 不安になるものです。育児書や、回りの人の言われる通りに扱おうとします。育児書には3時間4時間おきにミルクを何cc与えましょうとか、おむつを頻繁に確認してお尻が蒸れないようにとか、赤ちゃんは静かにそぉ−と扱いましょうとか、いろいろ事細かく書いてあると思います。しかし赤ちゃんを教科書通りに理想的に育て様とすると赤ちゃんにとっては都合良いのですが、しかし都合が良すぎると赤ちゃんは自分自身で何も欲求しなくても不自由しないのです。お腹が空いたからミルクが欲しいと泣く事も、おむっが濡れて気持ち悪いと言って泣く事も必要なくなります。これでは赤ちゃん自身に意欲を出させる事が出来ません。どうしたら赤ちゃんをいきいきさせる事が出来るかまとめてみましょう。
赤ちゃんにいっぱい刺激を与える事
 赤ちゃんは好奇心旺盛です。静かに寝かせていてはだめです。刺激が多いほど意欲的になるものです。「キャーキャー」と喜ぶ扱いを多くしましょう。新しい経験が多いほど脳神経の発達はよくなります。0才から3までの間に脳神経が急激に大きく発達します。この時期にいい刺激を与えてあげる事が大切です。
赤ちゃんが自ら欲求出来る環境
 赤ちゃんがいっも快適すぎるのはよくありません。寒いよ、暑いよとお母さんに訴える事も必要です。当然おむっが濡れたと泣き、お腹がすいたと泣き、抱っこしてほしいと泣く。「泣く子は育つ」のです。抱き癖はとても大切な事と考えます。お母さんと赤ちゃんがとてもいい関係にある表れと思います。
体を動かす事
  赤ちゃんなりに運動する事はとても大切です。運動する事で脳神経を刺激出来るのです。
スキンシップを多くする事
言葉かけを多くする事
 私の恩師久徳重盛先生は文明が発達すると育児が下手になる。育児の感が働かなくなると言っておられます。赤ちゃんが何を欲求しているかを判断できないお母さんが増えているとの事、賢い育児を心掛けたいものです。 
 
栄養士からの提言 B

 最近、小中学生の言動に「切れる」という言葉が流行しています。併せて少年犯罪、凶悪犯罪なども増加しています。また不登校生徒は10年間で約2倍にも膨らんでいるのが現状です。このような社会現象が今問題なっていますがこれらの心理面的問題は倫理、道徳面だけの事でしょうか・・・。栄養的、食 習慣的視点からみると「ペットボトル症候群」と呼ばれ様に果物のジュース、清涼飲料水の摂取の急増を中心とする甘味志向です。ジュース、清涼飲料水などを多量に摂取した時の糖分は吸収が良いため急速に高血糖となり食欲は抑えられますが、その後すぐに低血糖になりやすく空腹を感じ再び飲みたくなる。この繰り返しによる低血糖により疲れ、立ちくらみ、集中力・記憶力の低下、我慢の低下を招き、感情のコントロールが出来ずに怒りっぽくなったり恐怖、暴力などに結びっきやすいのです。一見、食事とは無関係だと思われがちな社会現象も日々の食習慣、食生活が長い時間をかけてつみかさなり一つの要因となりえることもあることを心したいものです。将来の健康を考え今の食事をする事は大切な事ではないかと思います。

喘息治療の最前線 ★その1★

《新しい喘息薬》 フルタイド
 気管支喘息は、気管支におきたアレルギー性炎症により過敏性が亢進した状態と言われるようになりました。そのため最近の喘息治療は炎症を消す治療が大切だと言う考えが主流になってきております。「炎症を消す治療」即ち抗炎症剤であるステロイド剤や抗アレルギー剤を用いて治療する、とりわけ強力な炎症作用をもっステロイド剤が治療の主体となります。しかしステロイド剤にはよく言われる様に副作用が問題になります。内服薬や注射剤を用いると効果も大きいのですが、全身的に作用する為副作用を考えて使わなくてはなりません。ステロイド剤の副作用としては、副腎機能を低下させる、免疫力を低下させる、肥満や糖尿病、骨そしょう症、胃潰瘍などを引き起こすなどさまざまです。
 そこでより副作用なく使用できる吸入ステロイド剤が有効となるのです。吸入薬は気管支に直接働くもので、薬の量も少なく、全身への作用はほとんどなく、効果さえよければ非常に有用な物となります。いままではベクロメタゾン(ベコタイド、アルデシン)という吸入剤が主でしたが、昨年11月にフルタイドと言う新しい吸入ステロイド剤が発売されました。ベクロメタゾンはガス化したものを吸入するものでしたが、フルタイドは粉吸入する形態です。作用はベクロメタゾンの2倍の強さで日に2回の吸で効果が得られます。ガス剤に比べ刺激感もないようです。
 当院では、発売当初より中等度以上の慢性喘息の患者さんに使用しておりますが、非常に効果がいいようです。使用後ピークフロー値が2倍に改善した方や、使用前には頻繁に点滴治療を行なっていたが使用後1度も点滴をせずにすんでいる方もいます。慢性喘息の多くの患者さんがこの薬剤で症状改善しております。
 このフルタイドは慢性喘息治療の第一選択薬となりうる薬剤と考えていいかも知れません。

喘息治療の最前線 ★その2★

《新しい喘息薬》 ホクナリンテープ
 β2刺激薬(交感神経を刺激して気管支を拡張させる薬)の貼付剤で、今年発売されました。皮膚に貼る事により気管支を拡張させる事が出来ます。薬の飲めない幼児には適していると思われます。しかし一度貼って効きだすのに、6〜8時間かかります。そのため急な呼吸困難を抑えるという使い方は出来ません。毎日貼って喘息を予防するのに効果的と考えます。ただ交感刺激剤ですので、あまり長期に使用していると効果が弱くなる恐れがあります。1〜2カ月発作を消すっもりで使用するといいかもしれません。剤型は0.5r,1r,2r,の3種類あります。使用の目安は3才迄が0.5r、3〜9才がr1、9才以上が2rとなっております。

アトビー性皮膚炎には運動が大切
     
 最近大変気になっている事なのですが、アトピー性皮膚炎の悪化要因の一つに皮膚自体の働きが大きく関わっているのではないかということです。これはアトビー性皮膚炎の増加の要因とも思われます。      
 成人の症状で経験した事ですが、コンピューターの仕事をしている人なですが、仕事めためほとんど体を動かす事がなく、しかも大変不規則な生活をしていたようです。ある時友達の引っ越しの手伝いを頼まれ一週間をびっしょりかく程の重労働したそうです。そうしたら今まで乾燥肌で全がガサガサに荒れていた皮膚が、みるみるうちにしっとりとして湿疹が軽くなっそうです。子供でも運動部に入ってから湿疹が落ち着く事はよくあります。運動する事で血行が良くなる。また汗をかく事で、老廃物を代謝し排泄する事で皮膚が浄化されます。この事がアトビー性皮膚炎を改善さやすくしていると考えます。我々の今の生活を考えると、快適に過ごせる分、暑さ寒さの刺激を受けなくなっている様です。また子供達を見ると外での遊びは少なく、特に体を使った遊びをあまりしなくなったようです。この様生活が皮膚の働きを悪くさせ、アトビー性皮膚炎を悪化させていると思えるのです。